DJI最新機種【MAVIC AIR 2】をインフラ点検視点で考察!
先日、DJIよりMAVIC AIR 2が発表されました。
橋梁点検やインフラ点検で現行の機種に対して
どこまで優位性があるかは不明なところも多いのですが
可能な限りMAVIC AIR 2を推察したいと思います。

●カメラの性能について
今回発表されたMAVIC AIR 2で最も注目されている点はカメラの性能だと思われます。
MAVIC AIR 2はMAVIC 2 PROより画素数は高いですが、

センサーサイズを考えればやはり
MAVIC AIR 2よりもMAVIC 2 PROに軍配は上がると思われます。

ただし、点検時には暗部や
日光などで白飛びしやすい箇所を撮影することもあるので、
MAVIC AIR 2はHDRが搭載されているところは
点検において期待できる部分だと思われます。
●動画について
また、ドローンで点検を行う場合は静止画ではなく
動画で撮影するケースが多くあります。
点検の場合は風景や人物などの撮影と異なり
特徴点などがない同じ構造物を連続して撮影するため、
静止画ではどこがどの箇所なのかわからなくなってしまう事があります。

動画はその点、撮影箇所を把握しやすく
画像点検の際には点検時間を大きく短縮することができます。
また、動画のデメリットの一つとして
暗部等を撮影する際には撮影設定を見直して
再撮影することもあり、点検に時間がかかってしまう場合もありました。

しかし、MAVIC AIR 2のHDRはもちろん動画に対応しているので、
自動でカラーバランスを調整し暗部などでも有効に点検を行える可能性があります。
現段階で実際に使用していないため憶測の域を出ませんが、試す価値はあると思います。
MAVIC AIR 2をカメラ性能だけで考えれば、
コストパフォーマンスは非常に良いと思われます。
しかし、MAVIC 2 PROやセンサーサイズが大きいドローンをすでにお持ちであれば、
あえて新規でMAVIC AIR 2を購入する必要はないと思われます。
●バッテリー性能について
次に、バッテリー性能についてですが。
カタログ上は最大飛行時間(無風時)で34分となっていますが、
私の今までの経験から安全に飛行できるのは実際28分程度ではないかと考えています。
(28分が短いか長いかは使用環境や用途によって異なるでしょうが、
私たちが行っている橋梁点検などでは十分な飛行時間だと思います。
ドローンを使用した橋梁点検の場合には部材ごとによって撮影することが多く、
連続28分間飛行するケースというのはそんなに多くありません。)
ただし、飛行時間は長いに越したことはありません。
5分飛行時間が伸びただけでも
安全な離着陸やパイロットの心の余裕には雲泥の差があります。

●高度操縦支援システム (APAS) 3.0について
MAVIC AIR 2について私が一番注目しているのは
高度操縦支援システム (APAS) 3.0です。
狭い部分の点検を想定した場合に従来のパターンでは
安全装置であるセンサーをオフにするケースが考えられます。
その場合の点検成果はパイロットの操縦技術に左右されてしまいますし、
残念ながら安全なフライトに失敗することもあります。
高度操縦支援システム (APAS) 3.0はDJIのHPなどからの情報をまとめると、
障害物に衝突する可能性がある場合には自動的に回避行動を取ることができるようです。

精度の問題や、センサーをオフにした状態で機能するのかなど、
実際に操作しなければ分からない部分もありますが、
高度操縦支援システム (APAS) 3.0が優れた障害物回避システムであれば、
狭隘部点検の今後の主役は間違いなくMAVIC AIR 2になると思われます。
それでもメイン機になれない部分としては、
限定された使い方しか想定することができない、ということが大きな理由の1つです。
●機体重量について
MAVIC AIR 2はMAVIC MINIよりは大きく、
MAVIC PROよりは一回り小さいサイズ感となります。

カタログ上では最大風圧抵抗が29~38km/h(レベル5)となっていますが、
570gという重量では事業で使用するドローンの中では比較的に軽い部類に入るため
安定した飛行は難しいのではないかと推測されます。
ドローンでインフラなどを点検する際には、
ゆっくりと安定して飛行する必要があります。
私の経験上、安定感は重量に比例することが多いため
過酷な環境下では安定した飛行は難しいのではないかと思われます。
●ジンバルの角度について
また、ジンバルの角度が24度までしか上向きにできない点が
個人的にはメイン機になれないと言い切る理由の1つです。
橋梁は橋の下から上空、橋の床の部分を点検する必要があります。
24度では撮影箇所が限定されてしまいます。

例えばジンバルの角度が90度であればカメラが真上をとらえるため
単純な片道飛行で簡単に対応できる、という部分が
24度では画角に注意を払って往復飛行で撮影する必要があります。
また、往復飛行で撮影したとしても
90度で撮影した画像に比べて、損傷箇所や損傷具合の判断が難しいのも
点検においては弱点となります。
●まとめ
MAVIC AIR 2にインフラ点検などで実施する前提でまとめますと
サブ機として運用するのであれば非常に優秀なドローンであり、
作業効率や点検精度などについても今以上に向上する可能性が高いと思われます。
ただ、メイン機としては使用用途が限定されてしまうため厳しいと思います。
丸重屋として運用するのであれば
メイン機体として利用するMatriceやPhantomの
サブ機体としてMAVIC MINIと併用しMAVIC AIR 2を利用するのが
最も望ましいのではないかと思っています。

※今回の記事については公開されているカタログスペックからの推察となります。
近日中に実際に触れ、また詳しいレビューを掲載したいと思います。
※機体写真はDJIStore(https://store.dji.com/jp)より